|
|
≪読売新聞本日7日兵庫版≫
自供に頼らぬ科学捜査を
国際協力機構(JICA)の一員として、フィリピン国家警察に派遣されていた県警鑑識課警部の田中信之さん(52)が帰国した。
自供に頼る捜査が今も続く現地で、2年半にわたり証拠採取の技術などを指導した田中さんは「教え子たちには、確かな科学捜査で犯罪に立ち向かってほしい」と願っている。
27歳で警察官となり、鑑識課や所轄刑事課などを経験。
12年前には、カンボジアで2か月間、鑑識指導に当たった。
その後、警察庁がJICAと協力してアジア支援に取り組む職員を公募していることを知り、「もう一度、海外支援に携わりたい。アジアで一丸となって国際犯罪を防ぎたい」と2006年9月、海を渡った。
同国ではその前年、マニラ近郊で、現地女性が米兵に集団暴行される事件が発生。
4人が罪に問われたが、証拠不十分で3人が釈放され、国家警察内でも科学捜査の技術向上を求める機運が高まっていた。
現地の捜査員を集めてセミナーを開催。
強盗や強姦(ごうかん)事件の現場で、どういった場所に毛髪や体液などの証拠物が残され、どうやれば傷つけずに採取できるのかなどを伝授し、
「DNAや血液を鑑定する部署もある。しっかり知識を身に着けて証拠を集めれば、必ず事件は解明できる」と訴えた。
その後、田中さんの指導を受けた女性警察官は、セブ島の質屋で起こった強盗事件で、
現場に残された指紋から犯人を割り出し、見事事件を解決した。
「よくやったな」とほめた田中さんに、女性警察官は「言われたとおりにやっただけ」と笑顔を見せたという。
今年3月に帰国後も、現地の警察官からは捜査の現状報告とは別に、「また一緒に仕事をしたい」と懐かしむメールが届くという。
「科学捜査が重要だという意識付けはできたかなと思います」。田中さんは照れ笑いを浮かべた。
(2009年9月7日 読売新聞)
|
|